3日目 福江〜奈良尾 台風は来るのか?おかみさんと、もぎたてキュウリ丸かじりの夜


「しまった!」と飛び起きると朝の8時。
早起きして近くでやってる朝市に行く予定だったのに寝過ごした〜。
バタバタと服を着て会場に行ってみたら、もう閉店作業中でした。ガガーン。


それでもチラチラと覗き、鮮魚や干物を並べているお母さんのブースへ近づく。
すると「味見していかんねー」と、焼き魚のほぐし身などを食べさせてくれた。
うーん、でもさすがにまだ旅も長いし、鮮魚は無理でしょ〜。
そう説明すると「みりん干しなら大丈夫やろう」と、今度は焼いたみりん干し味見。
実は、ひやかしだけで買う気はなかったものの、まあとりあえず…といただく。


すると、これがビックリするくらいウマー!!こんなに美味しいみりん干し初めて。
「これ、お母さんが作ったの?」「うん。私が全部作ったんよー」
本当は4枚で1000円だけど、明日から台風だし家族で旅行に行くしで、
朝市でも売れないから5枚で1000円でいいよとのこと。
それでもちょっと高いかなーとは思ったが、本当に美味しかったし、手間もかかってるし、
現金を落としていくのが観光客の務めかなということで手を打つ。
さば、鯵、いか、ふぐ、かますなど色々な種類をゲット。


宿に戻って朝ごはん。
おかみさんが用意してくれたのは、なんと卵づくし!
生卵、目玉焼き、卵焼きが全部並ぶ食卓ってどうなってんだ。笑
私が卵好きなのをご存知なのかしら(そんなわけない)…。


ごはんを食べつつ、「これからどうするんねー。台風が来るけん、明日は船が全部欠航よー」
といわれ、とりあえず早めの便で上五島に移動することにする。


港に行く前に商店街の銀行ATMでお金をおろし、
(この後の島では、なかなかATMにお目にかかれないらしい)
船の出港にはまだ早いのでぶらぶらと最後の福江散策へ。
武家屋敷跡に「ふるさと館」という公民所のようなところがあり、
たいして興味はないが入ると、奥で地元の無人フリーマーケットをやっていた。


いかにも家の蔵から適当に出してきたんだろうなーという年代モノがズラリ。
ノリタケの昭和モダン器セットとか超可愛い!しかもすごいセット量で1万円!安っ。
東京で見つけていたら間違いなく即買いですが、泣く泣く断念。
かわりに、ぽってりしたガラスのカキ氷皿を1枚買いました。500円。


12時過ぎの船に乗るため、港へ戻ると構内に無料インターネット発見!あらま!
(ちなみに、島内にインターネットカフェなんてものは皆無)
追加の検索や、気になっていた仕事メールの返信などして、港近所の食堂「うま亭」へ。
五島牛のステーキなどもあるようですが、皿ちゃんぽん(700円)にしてみました。


こ−れーが、すごいボリューム!2人前か!?
これでもか!と入った魚介や野菜、おなじみの超ピンクカマボコ、うずら卵など、
あんかけをワッシワッシかきわけると、激細の揚げ麺。んまーい!
麺はカリカリのときもいいけど、あんかけを吸ってやわらかくなったのもスキ。
さすがに全部は食べきれず、やや残してしまいましたわ。すんません…。満腹。


無事にフェリー(片道740円)に乗って、上五島の奈良尾港へゴー!
台風、台風と言われているわりに、まだまだ天気はもっている。
何度か教会に行ったけど、祈ったのは「旅行中、天気よろしくお願いします」
だけだったもんなー。ささやかだけど、かなり重要。天変地異だよ。笑


1時間半ほどで奈良尾港につき、バスで高井旅という小さなエリアへ。
ここが、なんとあの冒頭の「子供のころはわかめを頭にかぶって…」の場所なのです!
実は当初、ここにくる予定はなかったんだけど、
だんだん「やっぱり、きっかけの場所に行かなきゃ意味ないな」と思って。
出発前に「五島に行きますよ」とIさんに詳しい説明はなくメールをしたら、
「高井旅というのが、オレが生まれ育ったところだ」と返事があったけど、
まさか私がそこまで行くとは思ってないだろうな。笑


バスの運転手さんに「高井旅という海岸に行きたいんですが」と言うと、
停留所でもない一番近いところで降ろしてくれた。港からは10分くらいかな?
てくてくと向かうと、誰もいない海岸に到着! ここか〜、感動!


本当に小さな海岸で、台風が近いからか水もさほどキレイなわけではなかったけど、
しばらく海岸に座り、わかめをかぶってフルチンで走る男の子たちを想像してみる。
やっぱり来て良かったなー。


すぐ後ろには、赤いとんがり屋根の高井旅教会があった。
もちろんおじゃますると、これまでないくらいこじんまりした可愛い教会。
なんだか集会所みたいな素朴なムードで落ち着くなー。異常に暑いけど。笑


のどがかわいたので、バスを待つ間に水でも買うか…と、ポツリと建つ商店に向かう。
すると店のテントに「I谷商店」って…ん?Iさんの苗字ですけども!?


もしやご実家だったりするのかなーと、店のおじいさんに話かけると、
一瞬びっくりしていたが「うちは親戚。あいつの家はあそこ」と目の前の家を指差す。
そして、そのときに買い物をしていた女性は、なんとIさんの叔母さんだった。
「ちょうど昨日、本人から電話があったんよー」だそうです。あははー、すごい!
いろいろと話して、ちょうどバスが来たので失礼することに。いやはや。


バス(さっきと同じ運転手さん!)で近くにある温泉センターへ。
山の高台にあるのに、思っていたより立派な建物でびっくりしつつ、
(ロビーなんて、東京の某老舗ホテルラウンジにそっくり)さっそく入湯(250円)。


なんと、これもまた貸しきり。思わず激写。

朝から汗かきっぱなしだったので、かなり気持ちいいな〜。髪まで洗ってのんびり。


そこからテクテクと山を下って民宿「あらた」へ。
とにかく情報がないので、そのへんにあった町案内パンフレットに載っていた、
「民宿」の一番上にあった電話番号に電話して決めちゃいました。
1泊2食で5500円!


宿のとなりには壁に「ショッピングセンター」と書かれた雑貨屋があり、
そこで店番をしていたのが宿のおかみさん。
声をかけると、「隣が部屋やけん、5番の部屋に行っとって」と言われる。
はあ、そうですか、とひとりで部屋をさがすが…よくわからん。5番??
でもまあとりあえず全部の部屋が空いているらしいので、
適当な部屋でクーラーを入れて荷物をとき、勝手にくつろぐ。


今夜は近くの福見教会で6時半からミサがあるらしいと聞いていたので、
おかみさんに「どうやって行けばいいでしょう」と訪ねておいた。
すると「行きは目の前のバス停からバスがある。帰りは迎えに行ってあげる」とのこと。
そこでバスの時間より少し早めに部屋を出て(2時間に1本!)、
バス停の前の階段に座ってボーッと待つことにした。


すると、そこにおかみさんが登場。
どうしたのかなーと思ったら、
「今日、ミサがありよるの知らんやった。私も行きたかと思って」
なるほど、さすが上五島民。おかみさんもカソリックだったんですねー!
話を聞くと、おかみさんは一応カソリックだけどマジメじゃないので、
あまりミサは行かないらしい。でも今日はちょうどいい機会なので同行したいとのこと。
行きも帰りも送ってもらえるなんて願ったりだし、もちろん快諾。


着替えてきたおかみさん(ちょっと白っぽいブラウスになっておしゃれしてる)と、
車に乗り込み出発〜。教会の前におかみさんの実家があるので、
残飯を肥料として畑に撒きたいとかで大量の残飯も後部座席にのせてます。
強烈な残飯カレーのにおい(香辛料って植物にいいのかな…??)が漂う中、
意外に人なつっこくて話好きなおかみさんといろいろな話をする。
この田舎のお母さんの口から「聖地」とか「奇跡」とかって言葉が出るのが不思議だな〜。
私のカソリックに対するイメージって、いかにステレオタイプで貧弱なことか!


福見教会に行く前に、ゴロゴロ岩の海辺や、大きな滝に連れて行ってくれた。
「自然のものを見てもらうのが、一番よかと思うんよ」と言うおかみさんは、
娘さんが五島に帰ってくると、このゴロゴロ岩の浜辺に座って話をするそうだ。いいなあ。


帰りは福見教会の真下にある実家の庭に寄り、
「これ、食べごろの冬瓜。もいでもよかよ」と収穫させてくれた。わーい。


教会に入る前、かばんの中にロクシタンの大判ウエットティッシュがあるのを思い出し、
おかみさんに「これどうぞ」と1枚あげる。
ふたりで手を拭いていると、
おかみさんがロクシタンの香り(香りで有名なブランド)をかいで、
「都会のティッシュは、いいにおいがするったいね〜。すごかね〜」と、
少女のような笑顔で言っていたのでドキッとしました。超かわいらしかったのよ〜。


6時半からミサが始まる。
五島内でいくつか教会を見てきたけど、教会に自分以外の人間がいるのって初めてだな。
女性はみんなベールをかぶっていて、小さなオルガンに合わせて賛美歌を歌う。
おばあさんも、女の子も、中学生くらいの男子も、おじさんも、みんなが静かに祈る中、
おかみさんだけが、「あまりマジメじゃないから」と中には入らず入り口でひざまずいた。


それを見ながら、三浦綾子や遠藤周作の小説を思い出す。
ふたりの作品は10代のころに読んだだけだけど、
まるではじめて「信仰」という言葉を知ったような、私にとって気づきの本だったのよね。
(ちなみに両作家ともキリスト教徒。特に遠藤周作の「沈黙」は、
江戸時代の長崎のキリシタン弾圧について書かれた本なので旅行中何度も思い出した)
そのリアル版が、いま私の目の前にあるような。


ちょうどこの日に友人のSちゃんから、
「友人が亡くなった。その人とは、『ツレヅレハナコ』で見て行った大久保の『ピカソ』で、
相談話をしたことがあるんだよ」とメールをもらっていたので、
「神様。Sちゃんのお友達で、私のオススメの店に行った人がそちらに行きましたよ。
ご存知と思いますけど、ひとつよろしくお願いします」と、
天気以外のことを初めてお祈りしてみた。


帰りも、「私がすごく好いとう場所があっから見せてあげったい」と、
桐教会への道中をぶんぶん走る(真っ暗なのに、けっこう飛ばすのよ。地元ドライバー力!)。
そこは、「日本三景よりも五島のココのほうがきれか」と、おかみさんが胸をはる景色。
かわいらしい小さな島がふたつ、海の上にぽっかり連なって見える場所でした。
「もうちょっと明るかったら、きれいな緑色の水が見ゆっとよ〜」と、
日が落ちて暗くなり、水が見えなくなってしまったことを本気で悔しがってくれていた。
本当は明るいうちに出るはずが、私がミサに見ほれてしまって遅くなっちゃったのよね。
いやー、でも十分ですよ。ありがとうございました!


それから宿に戻り、食堂で夜ゴハン。
車の中で「私の母は、一生懸命やってるつもりなんだろうけど家事はうまくない」
と言うと「私と同じやね〜」としみじみしていたので、
どんなゴハンが出てくるのかドキドキ。
しかも「今日はシケであまりよか魚が入らんやった。
いつもは、ビチビチッとはねるようなアジとかあるとだばってん。いまいちかもしれん」
とか言うし〜。あわわわ。


でもビールを呑みつつしばし待つと、出てくる出てくる!
かつおの刺身(青唐辛子を焼いて漬けた、ピリッとしたしょうゆで食べる)、
いかの刺身、いかのエンペラの煮付け、自家製らっきょう、自家製梅佃煮、
小あじの南蛮漬け、自家製かます干し、煮物(竹の子、こうや豆腐、こんにゃく、昆布、
にんじん)。どれも、手作りの素朴な味で激美味なんですけど!刺身も十分な鮮度!


ビールをどんどん呑みつつ、おかみさんに料理の質問をしていると、
「それもあっけん食べっと?」と出てくるのよね。笑
「今日の昼は近くの畑できゅうりとトマトばもいで、味噌ばつけてそんまま食べた」
「おいしそう〜」「じゃあ、丸かじりすったい」と麦みそをつけてふたりでバリバリ。
「さすがに、お客さんに丸かじりさせたのは初めて」と苦笑していました。


さらに、アジの丸ごと一尾しょうが醤油煮、ゆで鯨、大根の漬物、
裏の畑でとれた甘い山栗…うううーん、もう食べられない!後で数えたら13品って。笑


食べつかれ&しゃべりつかれて(4時間くらい食事していたような…)、
「もう寝ます〜」とビールを1本だけ寝酒にもらって部屋に撤退。
ああ〜、今日も濃い1日だったな〜。

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