旅は呑んで食って…というのが個人的なメインなのですが、
同行のNくんは本業が美術家。
そして私も、建築と美術はやぶさかではありません(一応、美大卒…えへへ)!
「スペインといえばガウディ」なのはもちろんのこと、
古い建築を守る傾向の強いヨーロッパの中では、
スペインはわりと新しい建築家の作品を受け入れる傾向があるらしく、
ヨーロッパの現代建築家の作品を見るチャンスが豊富。
そして現代美術館も充実しているので、
悩みに悩んだ結果、いくつかの作品をまわってきました。


● ゲルニカの城「国立ソフィア王妃芸術センター」

マドリッドにある美術館といえば、まず挙げられるのが「プラド美術館」。
でも、プラドの作品展って年中、上野の国立近美でやってるよね…
というわけで、限られた時間内で観るにはどうかという話になり、
結局「国立ソフィア王妃芸術センター」へ。


近現代の作品が充実していて、なによりあの「ゲルニカ」がある美術館!

ガラス張りのエレベーターはイアン・リッチーによって作られたもの。
建物一部は気鋭のフランス人建築家ジャン・ヌーヴェルです。
汐留の電通ビルは仰々しい感じで「?」ですが、これはステキだなあ。


展示作品は、フォンタナの見たことがない連作や、
トゥオンブリのドローイング(すばらしい筆触!)、
久々に観たビル・ヴィオラのビデオインスタレーション、
ヨゼフ・アルバースの回顧展など、見どころ一杯!
そして、何よりやはり「ゲルニカ」。


単純に「これか〜」という感慨だけではなく、作品の持つ緊張感のようなものが激しくて、
しばらく前のソファーに座ってしばらく見入ってしまいましたわ。


●「そのセラ、ひとつください!」グッゲンハイム美術館

「町おこし」といわれるほど唐突に、工業エリアのビルバオにできた美術館。
設計は、フランク・O・ゲーリーですね。
その建築だけでも見る価値アリな、チタニウムを使った異様で美しいクネクネ外観。


しかも中を見回ってみると、外観の奇抜さとはうらはらに、
かなり観やすいシンプルなつくりになっていて驚きました。
そして、建物の横にある植物でできた犬は、ジェフ・クーンズ!
いやー、絵画作品しか見たことなかったけど、さすがクーンズ。
ばかばかしい作風でステキだわ〜。


「このためだけにでも来てもいい!」と思わせた常設は、
ぶっちぎりでセラの一連作品!
1回の1フロアをぶち抜きで使用していますが、
大迫力の超体感系作品で圧倒されました。


もうなんというか、作品を通り抜けるだけで萌え萌え!
あれ何十トンあるのかな〜。もう動かせなさそうですが。
そういえば、小さな作品が母校(多摩美)の中庭にもあったな。
地味すぎてまったく気づかれず、ガンガン学生に踏まれていましたが。
そのほか常設で見ごたえのあるものも多かったのですが、
ちょうどやっていた、キーファーとボイスの特集展もかなりよかった。
ボイスは、観れば観るほどわからなくなって「?」でしたが
キーファーは作品の大きさだけではない圧倒され具合に再度興味を持ちました。


●渡ってみたら魅力倍増「ズビズリ橋」

グッゲンハイム美術館の近くには、
バレンシア出身のスペインを代表する建築家・カラトラバが設計した、
橋がかかっています、


横から見るよりも実際に渡ったときの見え方のほうが数倍魅力アップ!
女体を思わせるなめらかなアーチの曲線や、水面に映る橋の下面にうっとり。


●こんなオサレな駅で通勤したい「地下鉄」
ビルバオの地下鉄駅のもぐり口は、ガラスを使う建築で有名なノーマン・フォスター。
入り口はアーチ状のガラスエントランスで、
徐々に中に入るとコンクリ仕様でございました。
オサレな地下鉄やのぅ…。


● アパートメントから徒歩30秒の真っ白空間「MACBA」

バルセロナにある現代美術館「Museu d’Art Comtemporani de Barcelona」。
通称「MACBA」ですな。


実は私たちがバルセロナで滞在したアパートメントは、
この建物のまさに目の前でした!
ほとんど、部屋の窓からMACBAに入館する人たちが見えるような…。
このあたりはおしゃれエリアらしく、「カンペール」のホテルがあったり、
最新デザイン系の雑貨屋があったり。
以前は治安が悪くて有名な下町移民街だったというのは、パリ16区と一緒ですね〜。
とにかくもう、ひたすら真っ白な館内。


でも、かなり観やすい超シンプルな内観&愛のあるコレクションでよかったです。
(余談ですが、スタッフものんびりしていて、かなりなごみ系。笑)
スペインの作家と海外の作家のバランスもちょうどいいし、
ビデオインスタレーション(とても多い!)も、
「撮りっぱなし」系作品が流行っている昨今なのに、作りこまれた面白い作品多数。
作家の名前を失念してしまったのですが、かなり印象に残る作品がありました。
(「家に飾りたい」と思えるストライクな絵画作品にも初めて出会った!)

 

● バルセロナチェアーありマス。ミースの直線建築「パベヨ・アレマン」
バルセロナのモンジュイクエリアは、
オリンピックの際につくられた選手村エリア。
その頃の雰囲気を残したエリアの端っこにあるのが、
ミース・ファン・デル・ローエの名建築「パベヨ・アレマン」!


あの「バルセロナチェアー」が置いてある伝説の建物です。
そのガラスと直線で構成された姿を遠くから確認しただけでも、
「おおー、ミースだね」「まさにミース」と、口に出るほどの「ザ・ミース」。
研ぎ澄まされた合理主義建築。なんて美しいんだ〜!!!
ガウディとか超過剰装飾美を観た後だと、その落差にクラクラしますな。
バシバシ写真を撮りつつ、ひたすらうっとりしつつ、
なぜか中庭のベンチで昼間から下ネタづくしのアホ話に花が咲く。


● ガウディより目立つ深海のような水道局「トラ・アグバル」

マドリッドのソフィアに続き、2004年完成のジャン・ヌーヴェル作品。
それにしてもこの異様な形状…相当目立つんですけど!
かなりのランドマークっぷりだわね。サグラダファミリアからも見えた。


中に入ると、半透明のガラスパネルから赤いカラータイルが透けて、
非常に美しい(らしい)。
私たちが行ったのは夜だったので、よくわかんなかったけど…
でも、天井がぶち抜きの吹き抜けで、まるで深海のようにヒンヤリした内観。
ちなみになんと、用途は水道局の本社!


● お花のカラータイルに萌え!「サンタ・カタリーナ市場」

2000年に若くして亡くなったスペインの建築家・エンリク・ミラーレス最後の作品。
地元の人から愛されつつも、最近、活気をなくしていて潰されそうだったこの市場を、
ミラーレス自身が全面改造する案を提案して復活させたらしい。
とにかく素晴らしいのは、その波打つ巨大な屋根!


色とりどりの六角形カラータイルを、果物や花をモチーフにして組み合わせてある。
いや〜ん、なんてかわいいの!乙女爆発!
上から観たかったけど、さすがにそれは無理で周りをぐるぐるする。


● ほとんどラブホなデザインホテル「Hotel Puerta America Madrid」
マドリッドで泊まったのが、このホテル
オープンして間もないデザインホテルで、
各フロアごとに異なるアーティストが内観を担当しております。
そのメンバーも、ジャン・ヌーヴェル、磯崎新、マーク・ニューソン、
ノーマン・フォスター、ザハ・ハディットと豪華メンバー!


普段は安いホテルばかりだったのですが、
「一泊くらい贅沢しよう!」と気合を入れました。
ホームページを見てもらえばわかるのですが、
何が面白いって、そのラブホな内装っぷり!
個性の強い作家ばかりなので、あまりにも統一感がなくてすごいです。笑
悩んだあげく、私はくねくねのザハ・ハディットルーム、
Nくんは風呂場もバスタブもスケスケのプラズマスタジオルームに宿泊。


夜は、最上階にあるバーへ。
赤い妖しい照明のオサレバーで、
カルヴァドスなどをたらたらと飲んでおりました。


水を頼むと出てきたのが、
あのマドンナも愛飲しているという「VOSSWATER」!
「さすがだねー」などとひとしきり感心したのですが、
後から知ったらNくんが住んでいるノルウェー産でした…とほほ。

●なにはともあれ「ガウディ!」
「このために来る」といっても過言ではないのがガウディ建築です。
ええ、ええ、そうですとも。
闘牛もフラメンコもレアルマドリッドも見ていませんが、
ガウディだけはがっつり見ました。
評判どおり本当に半分くらいしか完成していないサグラダ・ファミリア、
それとカーサ・ミラ、グエル公園…。
まだまだ何度も来るだろうな、と思わせる予感に満ちた作品たちでした。

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